デジタルカメラ「S50c」の無線LAN通信機能の問題点 - 弱みを強みへかえろ
モニタ中のデジカメ「S50c」の最大の特徴は、無線LAN機能を搭載している点であることは、間違いありません。
今回は、この無線LAN機能の現状と問題点について、考えてみました。
かなり辛口の記事になっています。ご注意ください(笑)。
(1)写真をアップロードするために、アクセスポイントに移動しなければならない
現在、日本全国、いつでも、どこでも無線LANが利用できる状態ではありません。
これは、デジカメ側の問題ではありません。
無線LANを利用するためには、近くのアクセスポイントに移動しなければなりません。
これは、大変面倒です。
自分のことを考えると、写真をアップロードするためだけに、わざわざ無線LANのアクセスポイントを探して、移動したりしないと思います。
(2)ピクチャーバンクに写真をアップロードする必要があるか
無線LAN通信機能を使って、外出先や自宅からニコン専用サーバーに写真をアップロードする「ピクチャーバンク」というサービスが提供されています。「ピクチャーバンク」を利用すると、記録媒体の容量を気にすることなく撮影することができるようになります。ただし、ピクチャーバンクに保存できる写真の容量は2Gとなっています。
では、どのくらいの写真を撮影すれば、記憶媒体の容量がいっぱいになるか見てみましょう。
先日、このカメラ用に2GのSDカード(2980円)を購入しました。2GのSDカードを利用した場合、最高画質で写真を撮影したとして、約550枚の写真を保存することができます。ちょっとした旅行なら、十分な数の写真を撮影することができると思います。
さらに、大容量SDカードが安価になっていること、SDカードから直接データをPCに取り込めることなどを考えると、無線LANで写真をアップロードしなければならない状況というのは、そう多くはないのではないでしょうか。
(3)PCを使わずにアップロードした写真の閲覧には、PCが必要である
PCを持っていないとアップロードした写真をみることができないのは、大問題だと思います。
写真を見るのに、どうせPCを起動しなければならないなら
○カメラをPCのUSB接続する
○カメラからSDカードを抜いて、PCのSDカードスロットに挿入する
などして、写真をPCにダウンロードした方が、手間が少ないと考える方は少なくないと思います。
(4)写真をアップロードするモチベーションが少ない
ネットワークに詳しくない人にとっては、複雑なLAN設定をしてまで、写真をアップロードする必要はないと感じると思います。
その一方で、ネットワークに詳しい人にとっては、現在、ニコンの専用サーバで提供されているサービスに物足りなさを感じると思います。したがって、LAN接続の設定はしたが、継続的にサービスを使い続けようするひとは少ないと思います。
(5)ピクチャーメールは、メールをもらう側も努力が必要
出先で取った写真をだれかに、見てもらう仕組みとしてピクチャメール」が提供されています。
「ピクチャーメール」を利用すると、写真をアップロードすると同時に、設定したメールアドレスに写真がアップロードされたことが通知されます。
メールを受け取った相手は、メールの情報を元にアップロードされた写真にアクセスすることができます。
ただし、メールはPCのメールしか送ることができません。また、写真にアクセスするための、IDとパスワードをあらかじめ知っている必要があります。
したがって、メールをもらう側は、PCが利用できて、さらに、IDとパスワードをしっかり管理している必要があります。
「ちょっと面白いものを見つけたのでみて」ような使い方はできませんね。
以上が、”私個人”の考える「S50c」のもつ無線LAN機能の現状と問題点です。
無線LAN機能を搭載することによって、インターネットの接点を持つことに成功したデジタルカメ「S50c」。しかし、つながっているのは、まだ閉じたネットワーク(ニコンの専用サーバ)の中です(制限も非常に多いですね)。
閉じられたネットワークは、日常的にインターネットを利用しているユーザに窮屈感を与え、また、新しいサービスが生まれるきっかけ喪失させていると思います。
「閉じたネットワークにしかつながっていない」という事実が、無線LAN機能の魅力を半減させてしまっている要因ではないでしょうか?
逆に言えば、この最大の弱みを取り除いていくことで、最大の強みが生まれきっかけとなると思います。
今後は、よい開かれたインターネットの世界へ簡単にアクセスできるようになり、無線LAN機能を搭載していることの魅力が、一層引き出されるのではないかと期待しています。