« 植物の「のどが渇いたよー」というサインを見逃さない植木鉢
『Roly Poly Pot』
| メイン | PCの温暖化対策に取り組む 『LocalCooling』 »

(book memo) 上達の法則 効率のよい努力を科学する

  はてなブックマークに追加 このエントリを livedoor クリップへ追加

Memo

○能力主義の時代と言われる。そのような時代に要求されるのは、個々の狭い能力を個別に身につけていることだけではなく、上達という現象を自己の経験として深く知っていることからもたらされる本当の意味での心理的余裕であると確信している。

○あたりまえのことだが、上達したいと思ったら、まず始めることである。「どうやったら上達するか」をはじめから考えすぎていたら、いつになっても着手できない。やり方が分からないという人は、じつは、やり方がわからないのではなく、それで上達したいという気持ちがまだ高まっていない人である。

○学習の後、忘却が生じるが、忘却は徐々に生じるわけではないことが分かっている。忘却は、学習から二十四時間後、七十二時間後、そして、六~七日後に大きく生じるのである。(中略)復習は、それぞれの忘却直前の二十四時間後、七十二時間後、一週間後に行うのが効率的なのである。

○上級者の記憶事象の絶対量が多いのは、記憶のためのコードがたくさんあり、多くの事象が小領域で記憶できるからである。

○上級者は自分の記憶事象のなかから、そのときに必要なものを無駄なく、素早く思い出す能力も高い。これもこのコード化の能力差に大きくよっている。(中略)検索の正確さと速さは、事象がうまくコード化されているほど、そして、それらのコードの配列が整然としているほど、高いのである。

○1チャンクに入る容量が大きくなるのは、それぞれの技能に関するコードが整い、かつ、そのことによって、有意味処理できる容量が大きくなるからなのである。

○上級者のほうが中級者より多くのコードを持ち、多くの事象をコード化し、認知している。そのため、上級者のほうが多くの情報を引き出しているので、心理的飽和が起こりにくく、退屈しにくいのである。

○技能のコードとコードシステムが頭のなかで整備されているので、見ただけで要諦を見抜き、記憶する能力が高まるからである。そのようになってくると、自分より総合的には劣る人の技能を見ても、部分的にすぐれたところ見抜き、それを取り入れることができるようになってくる。

○よい作品やプレーによってコードシステムが形成されていると、よくないものを見たときに、「記述しにくい」という感じが起こるようになる。悪いものが直観でわかるということは、悪いものを見たときに「記述に用いるべきコードがない」という空虚感がお起こるということである。その状態を作ることが、後々の上達にとって有意義なのである。

○しばしば、まったく種類の異なることをすることによって、心理的飽和から回復するものである。

○「後退していなければ前進している」という呪文である。プラトーによるスランプは何年間にも達することがある。その間、焦り続けていると、むしろ、やる気を失ったり、スキーマの不要な変更などをして、技量の後退を招いてしまうこともある。したがって、「少なくとも維持する程度の努力はしているのに、見掛け上、能力が前進しない」という焦りに囚われそうなったときは、「後退していなければ前進している!」と自らに言い聞かせることが必要なのである。

○上達を極める10のステップ
  ①反復練習をする
  ②評論を読む
  ③感情移入をする
  ④大量の暗記暗唱をする
  ⑤マラソン的な鍛錬をする
  ⑥少し高い買い物をする
  ⑦独自の訓練法を考える
  ⑧特殊な訓練法を着想するプロセス
  ⑨独自の訓練から基本訓練に立ち返る
  ⑩なにもしない時期を活かす


Source


Postscript

記憶システムと心理学を基に、上達の法則を解説した本です。

一般には曖昧な、あるいは体系づけるのが難しそうな「上達の法則」を、科学的な観点から理論的に説明しています。

これまで経験と比較して自分の上達法を検証したり、新たな上達をみつけて試してみるといったことに役立ちそうです。


どんどん進まないとすぐにおいていかれるという気がしてしまう今日この頃、「後退していなければ前進している」という呪文は、心の健康に役立ちそうです(笑)

この呪文に甘えてばかりいてはいけませんけどね。

Ads BOARD








最近のエントリーとその関連エントリー

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://kazuhiro.ty.land.to/blog/mt-tb.cgi/541

  Map